支度を済ませて家から出ると、すぐ横に停めてある車に自分の姿がうつった。







それは薄いグレーのシャツに黒のジャケットとスラックスを着ている俺。








カジュアルといえどもスーツはスーツだ







普段着なれていない分動きづらくて嫌になる。








だが、今日のスーツは免れない
なぜならば今日は新学期初日。
そう、新一年生が入学してくる日。
入学式だ。








こうみえても俺、
小田彰佑(おだしょうすけ)は某高校の新米教師。











「彰佑ーーーーー!!!!!」







耳に障るキンキン声の女が俺の名前を馴れ馴れしく叫び走りよってくる。





それも複数人いるであろう事が足音でわかる。

















近付いてきた足音に振り返るそのついでにそいつらを睨んだ。









「彰佑じゃない。小田先生、だ。」





彼女達はうちの生徒で、三年のギャル






俺の取り巻きの一部だ。







「ケチー、いいじゃんちょっとくらい」








「てか彰佑どうしたの、今日かっこいいじゃん!!」







俺の注意なんぞ聞き入れる様子もなくそう口々に無意味かつつまらない言葉を投げかけてくる。







毎日毎日よく飽きないものだ





「スーツ超似合う〜」





うっとりとした顔で絡ませてくる彼女達の腕をはらうと







「知ってる」








そう言い切って不敵に笑った









いつの間に集まっていたのか、
辺りから響きわたる女生徒の悲鳴の数々。







崩れ落ちそうなギャル達。








「(楽勝。)」








そう心の中で呟くと、女子どもが悶絶しているすきにそそくさと職員室へと足を
急がせた。