大自然の中、無機質な機械音が響く。
…機械音……??
ゆっくりと開かれた瞼。
今までと視界がガラリとかわる。
俺は大草原とは程遠い、
見慣れた…、いや、見飽きた狭い俺の家の部屋の一室にあるベッドの上に横たわっていた。
夢と分かるまで少しの時間を要したのは、あまりにも鮮明な記憶として残っているからか
「…っくそ」
綺麗な夢の後に襲い来たつまらない現実に
小さく悪態づくと、重たい体を起こした。
あの少女は誰なのだろう。
もし実在するなら、
もう一度会いたい
夢だというのが信じられないほど鮮明な記憶がそんな一言を俺の脳に伝達する。
ピピピピピピピピ
スヌーズ設定になっていた目覚まし時計が
ぼーっとしている俺を感知したかのようにまた鳴り始めた。
「うっせーな、起きればいいんだろ?起きて働けってことなんだろ?」
ばちん!と乱暴にお節介な目覚まし時計をとめると頭をがしがしとかきながら体を起こす。
また今日もいつもと変わらないつまらない日常が始まるんだと思うと、
綺麗な夢で盛り上がってしまった心が憎くもなった
だが、今日
俺の人生をガラリと変えてしまう存在と出会うことになるなんて
この時の俺は微塵にも思ってはいなかった。
