野々宮の嫌がっている姿を見てすぐにナンパだとわかった。
おいおい、油断も隙もねぇじゃねーか。
そう思うか否かハンドルをきる。
再度せりに車を寄せると今度は車から降りた。
こんなに余裕がなくなるなんて、俺もたいがいにした方がいい。
ふとそんな事を思う。
だが、早足で2人に近付いていた足が緩むことはなかった。
と、そんな時にオレの目に入ってきたもの
それは、さっきの男が野々宮の肩を気安く抱き、どこかに力づくで連れていこうとする場面だ。
それを見て俺は糸が切れたように走り出した。
《その時は、先生が助けに来てくれるでしょ?》
屈託の無い笑顔でそんなことを俺に言った野々宮を思い出す。
余裕なんてあってたまるかよ
やっぱり、俺は
「何してんの?」
このどうしようもなく馬鹿でほっておけないこいつの事が好きなんだ
