まぁ、正直。
俺もこのまま彼女をどっか連れていきたいけど、
こんな純粋な野々宮を連れていけるほど腐ってもない。
「なんですか?またコーヒーですか?」とジトーと俺を見る彼女に手招きをした。
頭に?を浮かべながらも近付いてくる。
野々宮の顔に俺の手がいとも簡単に届く、そんな距離までこさせると、
「ったい」
ぱちんっとデコピンを喰らわせてやった。
「冗談だよ。んなこと言ってるとホントに買いに行かすぞバーカ。」
イタズラに成功した俺は勝ち誇ったような顔をする。
と、野々宮はそんな俺をみて
おでこを抑えながら「なにするんですかっ」と頬を膨らましこちらを睨んだ。
「じゃあ明日学校でな」
そう言い窓を閉める。
閉まった窓越しにバイバイと、手を揺らすと彼女は生意気な顔でベーっと舌を出した。
そんな彼女に構うことなく車を出したが、車の中1人だというのに思わず笑ってしまう。
いつもなら嫌気がさす赤信号も、この時ばかりは好都合。
すぐ停止させられた車から振り返りまた彼女の姿を確認しようとした。
すると、
さっきまで俺と喋っていたはずの野々宮が別の男と話している。
