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終礼では主に明日から時間割通りに授業が始まることが伝えられ、すぐ終わった。
だが、終礼の後、私は小田先生に呼び止められる。
「野々宮、ちょっといいかな?」
「あ、はい!」
私は沙奈に「先帰っていいよ」と伝えると教室を出ていく先生の背中についていった。
職員室に着くなり、先生はこの前と同じ椅子に腰を掛け椅子のコロコロを利用してこちらに体ごと向ける。
「数学委員決定おめでとう」
にっこりと笑ってそう言ってくれる先生。
「本当に私でよかったんですか?
他にもいっぱいやりたいって言ってた人いたのに。」
実際先生に勧められてなんとなく立候補しようとした私より、自主的に立候補している他の女子の方が意欲が強いのではないかと思う。
そう言う私に先生は少し困った顔をすると先ほどのクジの入った四角い箱を持ってきた。
そしてその箱をひっくり返す。
バラバラと小さな音を立てて複数枚の四つ折になった紙が出てきた。
「開いてみて」
すこし不思議に思うも
そう促されるまま私はその紙を開いた。
1つ開いて眉をひそめる。
そのままもう一つ開いた。
どんどんどんどん開いていく。
その折られた紙切れは開けど開けど全てに「野々宮ことは」と、私の名前が書かれていた。
「俺が野々宮がよかったの。」
私の紙を開く手を止めるように握りながら言う。
そんな先生にドキンっと心臓が跳ねた。
自分の気持ちに違和感を感じていると「だって…」と先生が言葉を続ける。
また1つドキンっと心臓が跳ねた。
おずおずと先生の顔を見る。
すると、
先生はなぜかとっても意地悪そうな顔をしていた。
そんな先生の表情に心臓のドキドキが消え、頭にはてなマークが浮かぶ。
が、先生のつぎの言葉でその顔の意味を理解することになった。
「数学委員の仕事内容はほとんど俺のパシリだからね。
ちゃーんと言う事聞いてくれるのきっと野々宮くらいかなって」
クスっと人を馬鹿にしたように笑うとそんな意地悪な事をいう。
思わず「んな?!」と声をあげた私。
その耳元で先生は呟いた。
「明日からよろしくね、ことはちゃん」
そんな先生からパッ離れると、先生の余裕な笑みになんだかいっぱいいっぱいになる。
耐えきれなくなった私は
「もーー、失礼します!」
と、ペコッとお辞儀をすると、早歩きで
職員室を出た。
後ろで「はい、さようなら」と言いながらクスクス笑っている小田先生の楽しそうな雰囲気を背中に受けながら…。
やっぱりやっぱり前言撤回。
小田先生は、
悪魔です。
