突然の教師の登場にポカンと口を開ける橋戸と西谷。
そんなアホ面の2人を残して教室を後にした。
職員室へと向かう俺の後ろをてこてこついてくる野々宮。
そんな彼女に夢の中の印象は全くなくて。
さしづめ、小熊…いや、子犬ってところかな。
そんな彼女が可愛く見えてしまう俺はきっと病気にでもかかったのだろう。
心の中でそんなことを考えながら職員室に入ると、自分のデスクにまで向かい椅子に座る。
子犬…、あ、いや野々宮はそんな俺を不安そうな顔で見てきた。
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KOTOHAside
私は何をしてしまったのだろう。
先生と関わったものの数時間の中で、呼び出しをくらってしまう原因となった自分の失態を思い浮かべる。
怒られやすいという自覚はあったが、まさか二日目にして副担任の先生からお呼び出しされてしまうとは思っても見なかった。
うぅ、情けない
自分の情けなさに思わず涙目になってしまう。だが、泣かないようにグッと我慢した。
「大丈夫。別に取って食ったりしないから」
少し呆れたようにそう言う小田先生。
そんな小田先生の言葉に思わず笑ってしまった。
「食べられちゃうかもだなんて思ってません」
クスクス笑う私を相手に
「わかんないよ?そうやって油断してるとこわーい狼が俺に化けてても気付かずにこうやってついてきちゃって食べられちゃうかも」
と脅す。
「そしたらきっと先生が助けてくれるでしょ?」
笑顔でそう言うと先生は一瞬キョトンとした顔をする。
が、すぐ笑顔で「そうだね。」と答えてくれた。
それを聞いてなんだか嬉しくなる。
きっと、きっとね?
先生に化けてるって事は先生の服とか盗んでるって事だから、きっとその狼さんルパン三世みたいに先生を捕まえてどっかに縛り付けてるとおもうの!
それで、きっと一番最初に先生を見つけた誰か…うーん、きっと沙奈だな!
沙奈に縄を解いてもらって、
で沙奈と2人でわたしを助けに来てくれるんだ
そんな想像を膨らませて遊んでいると、先生がペチンっと私のおでこを叩いてこう言った。
「アホ面さん、何考えてるのか知らないけど、別に怒るために野々宮を呼んだわけじゃないから安心して?」
先生との楽しいお話を考えててすっかり忘れてた不安。
あ、そっかそのために冗談言ってくれたのかな?
さっきは悪魔だと思ったけど、実は優しい人なのかも
そう思った途端、"アホ面"呼ばわりされた事を時間差で理解した。
「あほじゃないもん!」
そんな私に「反応遅すぎ」と言って笑うと、先生は呼び出した理由を話始める。
「野々宮には、午後の委員決めで数学の教科委員になってもらおうと思って呼んだんだ。」
そうニコニコつげる小田先生。
「教科委員?」
そんなのあるんだ、と感心している私に向かって「そう、あるんだよ」
と教えてくれる。
「教科委員ってのは各教科担当の先生の指示に従って動く委員だ。
他の委員と違って仕事は少ないほうだろうから普通は男女とペアでやるけど、数学の教科担当は野々宮一人で十分かな。」
小田先生には有無を言わさない不思議な力があると思う。
別に嫌だったわけでもないけど、なんだか逆らえないと無意識に感じた。
「は、はい。」
「よし、決まり。じゃあ午後の委員決めんときちゃんと立候補するんだぞ?」
私の返事を聞くと満足そうにそういった先生は用事が済んだらしく、「じゃ、また午後な」といって私を解放してくれた。
