「野々宮?どうかしたの?」
小田先生の小さい顔についている形のいい唇が私にそう問う。
すごいなぁ、もう名前覚えたんだ
そんな事を考えていて、つい返事をするのを忘れていた私に小田先生はもう一度「野々宮?」と、投げかけた。
そんな問いかけにハッとする。
「あっ、ごめんなさい、なにもないです!」
少し慌ててそう否定すると、西谷くんと、西谷くんとのやり取りを見ていた沙奈と橋戸くんがそんな私をみてクスクス笑っていた。
昨日の今日ですっかりいじられキャラだ。
あとで仕返ししてやる
そんな念を込めてみんなをキッと睨む。
と、同時くらいに小田先生が突拍子もない事を言った。
「そうかよかった。じゃあ自己紹介は野々宮からしてもらおうかな。」
「はい。………………っえ?!?!」
突然で一瞬理解ができず肯定したものの、それがしっかりと飲み込まれるとともに私はすっとんひょうな声を出した。
私の絶妙なボケ具合に
教室内が爆笑の渦に巻き込まれる。
いや、なにが絶妙だ。
ぜんぜん嬉しくない。
小田先生の方をチラリと見ると、またあのニヤニヤ顔で今度はまっすぐ私を見ている。
なんかおもしろがってるような気が…
下手に抵抗するより早く終わらせちゃった方がいいと判断した私は観念してもう一度「わかりましたぁ」と項垂れつつも肯定した。
あーもう。なんて情けない返事なんだ
先生からもいじられキャラの班を押された気分を味わいながら仕方なく私の情報が箇条書きになっている紙を手にとった。
「えっとー、」
「あ、言うの忘れてたけど自己紹介者は立って。その場でいいから
ってことで、野々宮さん宜しくお願いします」
そう小田先生が付け加える。
ニコニコニコニコしながら。
その時私は確信しました。
小田先生は悪魔だと。
