沙奈と話していると楽しくて、学校までの道のりもあっという間でついてしまった。
ガラっと教室のドアを開ける。
すると先についていた昨日仲良くなった2人、西谷礼仁(にしやれいじ)くんと橋戸亮太(はしどりょうた)くんがこちらに視線を向けた。
教室に入ってきた私たちの姿を見て「おはよー!」という挨拶とともに手招きをしてくる彼ら。
私たちは鞄を自分たちの席に置くと、それに従って2人のもとに集まった。
「なぁ自己紹介何言うか決めた?」
西谷くんがそう尋ねると私の肩を抱く。
そういえば、沙奈に会って自己紹介の事すっかり忘れてた
「どうしよう忘れてた」
「普通忘れないって」
西谷くんの鋭い突込みにみんなが笑う、が
「その前に…」と橋戸くんの声。
と、ほぼ同時に沙奈の手によって西谷くんの腕が持ち上げられた。
「ことはに気安くさわんなこのチャラ男が」
「あ?なんだとクソあま」
「沙奈よく言った!」と騒ぎながら私の肩を抱いたのは今度は橋戸くんだ。
それを見た沙奈と西谷くんはすぐに「お前もな」と橋戸くんの頭を叩いた。
息ピッタリの2人に叩かれて涙目の橋戸くん。
そんな光景を見て思わず笑ってしまう。
ちなみに、まだ私の目の前で言い争ってるこの3人は昨日からこの調子なのである。
何かしらとすぐに言い合いになる3人。
でも、その言い合いがすごく面白くて、私はこの流れにはまってたりする。
こっそりいいコンビだなんて思ってたりして。
沙奈にそんな事言ったら怒られちゃいそう
でも愛あるが故の喧嘩だからきっと面白い。
いわゆる、喧嘩するほど仲がいいってやつ。
この3人が喧嘩してるのを見ても止める人がいないのが何よりもの証拠だ。
