「あ、ごめん。聞くつもりはなかったんだけど」


「ぅわっと!? え、あ、ええっ!?」



 ――若葉くんだった。

 よりにもよって、啖呵切った後のものすごい剣幕を見られるなんて……。

 沸騰したヤカンみたいに、頭から湯気が立ち上る。



「わっ! えっと……今のは聞かなかったことにするから、平気だよ。ね!」


「……いいの若葉くん。人には誰だってさらけ出さなければならない一面があるわ。私は平気よ。……うん、きっと平気」



 あまり深く触れないほうがいいと察してくれたんだろう。

 若葉くんもそれ以上言葉にはしないでくれたので、気が抜けてしまう。