私はウワサみたいに強くないし、実際は気弱な小心者。

 でも入学したての頃、間違って殴っちゃった相手が運悪く上級生だったことがすべての始まり。

 あれよという間に恐怖は全校中に広まった。

 自業自得といえばそうなんだけど……。



「それにしたってひどくない? 私、不良じゃないもの!

 髪だって地毛よ。抗いようのない遺伝子の力を前に、どうやって立ち向かえばいいっていうの、教えてよメンデル!」



 叫ぶ。そうでもしないとどうにかなってしまいそうだ。

 どうせ1人なんだし、誰も聞いてやしないんだから――



「あの」