夏の夜は明るいからと、油断しているうちに陽が落ちきってしまった。


 見上げる空は群青色。

 薄暗い小道を駆ければ、セーラー服の袖から出た腕に、夜風がひんやりと当たった。

 部活に打ち込むのもほどほどにしなければと、臙脂の包みを握り直しながら反省する。



「……ここ」



 近道をしたから?

 それにしたってどうして足を止めたんだろう。

 ご無沙汰だったとはいえ、通学路の脇に現れたのは、幼いころから慣れ親しんだごく普通の公園なのに……。



「そこの君、何をしているんだ?」