「でも、暗い中を帰ることには変わりないから、気をつけてね。気づいたら真っ暗、なんてこともあるかもしれないし。

 それと、知らない人について行っちゃダメだよ」



 ……お母さんだ。お母さんがここに!



「う、うん。なるべく早く帰るようにします」



 心配しているお母さん……じゃなかった若葉くんを安心させるには、素直にうなずくに限る。

 若葉くんがホッと胸を撫で下ろしたのを確認してから、靴に履き替える。


 振り返ると手を振ってくれた。

 私も振り返しながら、学校を出る。


 下校時刻まで少し余裕があるため、外は部活生が忙しく走り回っている。


 ふと空を仰ぐ。


 夜の帳が下りる空に、白い月が浮かんでいる。

 形も輝きも、完成まであと少し。



「ミブロ……」



 満月が近いから夢に出てきたのかな。


 ……私のお月さま。