「だいぶ暗くなってきたね」



 窓の外を見ると、茜の空が少しずつ宵に染まり始めている。



「送って行こうか?」


「えっ?」


「こんな中を、女の子1人で帰らせるのは心配だから」



 ドキッとした。

 冗談……ではないことが若葉くんの本当に心配そうな表情から見て取れた。

 だから余計焦ってしまう。



「だっ、大丈夫だよ! ほら私、家近いし、そんなに気を遣わないで! 今日助けてもらっただけで充分だよ!」



 気持ちは嬉しいんだけど、そこまで行くと私の心臓がもたないと言いますか。

 躍起になって断る私に、若葉くんは苦笑。



「冗談だよ」


「……え」



 冗談だったの?

 全然そうは見えなかったんですけど。