昇降口で待っていると、すぐに若葉くんが荷物を持ってきてくれた。



「わざわざありがとう!」


「ん、気にしないで。これくらいどうってことないから」


「ホント? 若葉くんってたくましいね」


「……男ですから」



 何だか嬉しそう。

 照れたような横顔も魅力的だなぁ……って。



「あれ……」


「どうかした?」



 不思議そうにこっちを向く若葉くん。

 私が驚いたのは、レンズを介さない彼の瞳が、緑色であるはずなのに違っていたからだ。


 窓から差す夕暮れと同じ茜色。

 若葉くんも何のことか気づいたらしい。