「私、もう大丈夫だから……」



 悲しくなんかない。

 寂しくなんか、ない。

 私の心は、晴れ晴れとしていて……。



「だったら、どうして俯いているの?」



 静かな声が保健室に響いた。

 若葉くんがどんな表情をしているのか、私にはわからない。

 彼の言う通り俯いているから。



「本当に大丈夫なら、僕の顔を見て。ちゃんと前を向いて」



 追い打ちをかけるように言葉が降ってくる。

 頭上に鉛を置かれたみたいで、顔を上げられなかった。



「そう」



 たった一言だけ、呟かれた言葉……



「ご、ごめ……」



 慌てて謝ろうとした、そのときだ。