「なーに持ってんのかなぁっと……なんだ、愛刀か。朝早くからゆすりに向かおうとはご苦労なこったな」 (ゆすり……っ!?) うろたえそうになるところを、グッと踏ん張る。 ここで引き下がったら相手の思うツボ。 すうっと深呼吸をして―― 「戯言ほざいてンじゃないよ。こっちは夏の大会で忙しいんだ」 強い口調は、私の精いっぱいの虚勢。 ナメられないように毅然とするの。 大丈夫、私にはお月さまがついているもの。