「……みんな、もう行こ」 そそくさと、遠藤さんがきびすを返す。 「おい、ちょっと待てっ!」 腕を掴んで引き留めようとすると、 「いやっ! 離してよ!」 ――パァアンッ! 乾いた音が鳴り響く。 あぜんとして、熱を持つ手の甲を見つめる。 遠藤さんも驚愕に固まっていた。 自分でも信じられないのだろう。 紅林の手を叩き払ったなど。 女子たちが一目散に走り去る。 ものの10秒も経たないうちに、全員の姿が見えなくなった。 あとには私が取り残されただけ。