「まぁ紅林さんは怖いもんね。できるだけ近づきたくないし」


「そうそう、昨日授業に遅れてきたでしょ。あれって、城ヶ崎とかいう不良とツルんでたからって話だよ」


「ヤダ、こわーい。それじゃあ亜貴がやりたくなくなるのも当然だよね」



 ……ズキン。


 どうしたの、私。

 いつも言われてきたのに、どうしてこんなに、胸が痛いの……?



「何言ってんのみんな。あんなの、怖いなんて思うわけないじゃない。

 それよりも気に食わないのよ。さやかなんて、編入生をちょっとからかっただけでガン飛ばされたって言ってたよ。

 私、そういう暑苦しい正義感って嫌い。不良なら不良らしく悪さでもしてろっての」



 遠藤さんには、いつも見る人当たりのいい笑顔なんて全然なかった。

 何のためらいもなく言葉を放って、そして笑う。