(……まさかね) 心当たりがないわけじゃない。 いや、どちらかといえばありすぎるけど……。 「紅林さんって、いつもこんなに早いの?」 「……あ、うん。家近いしね」 「へぇ。この辺は駅からも近いよね。学校帰りとか充実してそうだな」 「何が?」 「あれ、寄り道しない?」 「いやぁ……部活が終わったらすぐに帰るし」 「そうなんだ? 僕なんか毎日してるけど」 「毎日!?」 若葉くんの顔から、一瞬にして笑みが消えた。