城ヶ崎がじっと私を見据えている。

 やがて、クシャッと髪を掻き回し背を向ける。



「……勝手に言ってろ」



 彼が振り返ることはもうなかった。

 誰もいなくなった剣道場で、私は1人息を吐く。

 まだまだ弱い私はこんな言葉でしか伝えられないけど、この気持ち、伝わってるといいな。



「さてと! 今何時かな……って」



 備え付けの時計を確認し、驚愕する。

 思わず二度見してしまった。



「もう授業始まってる!?」