「僕がいなくても、セラちゃんはきっと大丈夫です。だから言わなかった」



 あんなに明るくて元気な子なんだ。

 僕がいなくてもたくさんの友達を作ることができる。

 あの子なら、独りじゃない。



「何を言ってるの! あの子には、あなたしかいないのよ!」


「……え」


「明るく見えるのは人前だからよ。あの子はふさぎ込んでいるところを決して人には見せないの。私や馬鹿ケン……じゃなかったあの人にも!」



 それは、どういうことなのだろうか。



「あの子が、髪のせいで友達からひどい扱いを受けてるって、知ってる?」


「……っ! それは本当ですか!」


「本当よ」



 信じられなかった。

 あんなに自慢げに話していたのに、そんな素振りは全然……。


 でも彼女は言っていた。

「あなたも、変に思う?」と。


 ……どうして気づけなかったのだろう。