「また遊ぼうね、ソウくん!」 「うん」 手を振り返しながら、軽い足取りで駆けて行くちいさな背中を見送った。 脳裏をよぎる笑顔に温かい気持ちを感じ、同時に胸が痛くなる。 「……ごめんね、セラちゃん」 目頭が熱くなり、空を振り仰ぐ。 頭上に広がる茜は驚くくらい澄み切っていて、悔しいとも、綺麗だとも思った。 ……もう、準備は整ってしまった。 僕は明日早朝、京都に帰らなければならない。