「みんな、わたしには似合わないって言うの。でもね、わたし、この髪好きなの。お月さまと一緒だから!」
……絶句した。
こんなところまで月が出てくるなんて。
俯いた僕を女の子が覗き込んでくる。
「どうしたの?」
「嫌いだよ。……月なんて」
あの色を目にすると、落ち着かなくなる。
それは僕が僕でなくなる前触れだったから、嫌うのは当然の感情なんだと……そう思っていたけど。
「そんなこと言わないでっ!」
ずいっと詰め寄られ、僕は動けなくなる。
「お母さんが言ってたもん。お月さまはとってもキレイなの。わたしをずっと守ってくれるの。
……でも、夜のお空にずっと独りぼっち。強そうに見えるけど、本当はすごく寂しがり屋なんだって。
だから、わたしがそばにいるのっ!」

