風に髪を撫でられた気がして、目を覚ます。


 しばらく寝ぼけ眼でぼんやりしていたけど、ハッとする。

 風なんかじゃないって。

 だってここは教室だから。



「目が覚めた? おはよ」



 穏やかな声のしたほうへ顔を向ける。

 隣の席に、微笑みながら頬杖をつく若葉くんの姿があった。



「やだっ、私また寝てた!?」


「うん。すやすや眠ってたねー」



 仮にも年頃の女子が、ところ構わず眠りこけるとは、なんてこと……!



「ずいぶん疲れてるみたい。昨日もあの3人に捕まったんでしょ?」


「あっ、うん」



 若葉くんが言っているのは、朝桐くん、日野くん、和久井くんのことだ。