「……そろそろ帰ろうか。夜遅くなってきたし、送ってくよ」 「えっ!?」 飛び退くように身体を離した私の腕を掴んで、若葉くんはいたずらっぽく笑った。 「まさか、僕がこんな夜遅くに女の子を1人で帰らせるとか思わないよね? 3年前みたいなことがあったらどうするつもりなの」 「それはそうなんだけど……そ、そういえば! どうして助けてくれたの? 3年前はまだ京都にいたんじゃなかったっけ」 「あのときはちょうど夏休みだったでしょ。父方の実家がこっちにあるから、折あるごとに帰省してたの」