「君が悲しい思いをしなくてもいいように僕が守る。だからそんな顔をしないでほしい。笑って」



 お月さまに、にっこりと笑いかけられる。

 それは陽だまりみたいな温かさだった。

 今まで感じたことのない嬉しい気持ちが、胸の奥から溢れる。



「……うん」



 温かな光につられ、私は笑った。



「うん」



 ――太陽と月。

 まったく違うようで似ている。


 それは私を明るく照らし、明日へと導いてくれること。


 曇った私の空に、ふたつの光が輝き始めた。