「金髪はイギリス人のお母さん譲りなの。

 だけど顔はお父さんに似ちゃったから、目は茶色いし、鼻は低いし……ハーフに見えないし」



 きっかけは本当にささいなこと。

 だけどウワサはウワサを呼び、結果として怖がられるようになった。

 周りと合わせていかなければ、私は生活できない。



「だから、黙っててもらおうと思って探してたの。あんなことになったけどね」


「紅林さん……」


「なんか、頭にきちゃって。あれだけ好き勝手言って、『あなたたちは若葉くんの何を知ってるの?』ってね。

 まあ……私も朝が初対面だし、人のこと言えないんだけど、若葉くんがいい人だっていうのは知ってたから、ついね」



「怖くない」と言ってくれたことが、どんなに嬉しかったことか。

 それだけは、揺るがない事実だから。