「……君は怖くないの?」


「怖い?」


「ギラギラしてて怖いでしょ。この色」



 やっと顔を上げる。

 そこには、儚げに細められる琥珀色の瞳があった。


 確かに、落ち着いた緑とは対照的に、威圧的で好戦的な印象を与える。

 それに長谷川先輩は恐れおののいた。

 だけど。



「そんなことないわ。言ったじゃない。若葉くんの瞳は綺麗だって。お月さまと同じ色なんだよ。それに、私の髪と同じ色。怖くなんかないもん……」



 彼が褒めてくれたから、返すのではない。

 大好きなあの光と、母が褒めてくれたこの髪と同じ色を持つ瞳を、心から綺麗だと思っているから。



「……そうだった。君はそういう子だった」



 肩に添えられた手が背中に回され、身体が引き寄せられる。