「バーカバーカバーカバーカ!」


「なんでそんなにバカバカ言われなきゃいけないの!?」


「バカだから!」


「そんな! もっと別の言い方ないの!?」


「ない! 罵りたいのにバッシングのボキャブラリーが極端に少ないことに今気づいた私の身にもなって!」


「悪口に精を出さなくてもいいと思う!」


「うるさーいっ! 悪口でも言ってなきゃやってられないわよこの状況! 何しに来たのよ、このバカ―ッ!」


「何しにって、探しに来たに決まってるでしょ! 荷物はないのに靴だけあるから、おかしいと思ってれば……。

 こんな夜遅くまで残ってて、どれだけ心配したと思ってるの!」


「はいはいそれは悪かったですねぇ! ……って、え?」



 思わず、固まってしまった。