果てしない闇夜でも、お母さんは昼間と寸分違わぬ笑顔を浮かべている。

 深海の色をした瞳に吸い込まれ、いつしか悲しむことさえ忘れさせられた。



『なかなくても、いい?』


『ええ。だから、これだけはよく覚えておいて』



 額縁代わりのガラスの向こう、見上げた夜空の中央に、琥珀色の光がぽうっとまん丸な円を形作っている。

 滲み出る光はやわらかで、それでいて凛と佇む。

 目を奪うほど綺麗だった。

 その美しさは、お母さんの言葉とともにいつまでも胸に残っている。



『お月さまはね、セラちゃんのことをずうっと見ているの。どんなに悲しいことがあっても、きっと守ってくれる。

 あなたは、独りじゃないわ』