「コイツはお前だけのモンじゃねぇんだぞ。縛り付けるのも大概にしろ」



 若葉くんの瞳が大きく見開かれた。

 すぐに、端正な顔を歪めて唇を噛む。



「若葉くん、城ヶ崎は乱暴なんてしないから、そんなに心配しないで?」



 だから大丈夫だと、安心させるつもりだった。



「……わかった。行っておいで」



 なのに、若葉くんの声は沈んでいた。



「行くぞ」



 それでも城ヶ崎は待ってくれなくて、促されるまま、教室を後にする。