2時限目が終わる。

 休み時間を挟みながら3、4時限目も問題なく過ぎていく。

 その間も若葉くんは、いつもと変わらない様子だった。


 だけどふと目を逸らしたとき、私が見ていないようなところで真顔になっている。

 気を張って、何かを警戒するように。



『どうしてそんな顔をするの?』



 ひと言聞けばいいのに、たったそれだけの勇気さえないなんて……。


 私が葛藤しているとも知らない若葉くんは、話すときはちゃんと「元」に戻る。


 もどかしかった。

 だからと言って彼を跳ねのけるわけにもいかない。

 私は好意をありがたく受け入れ、時が過ぎ去るそのときを待つのみだった。