目に見える仕打ち。

 その奥に潜み、私たちをあざ笑う目に見えない感情。

 だけどドス黒く渦巻くその感情は、私には何よりもよく見える。



「……馬鹿タレ共が」



 面白半分で罪のない人をこんな目に遭わせるなんて、許せない……。


 そこで我に返る。

 少女が固まっていたのだ。

 凄みのある声に身がすくんでしまったのだろうか。



「あ、違うんだ。怖がらせたかったんじゃない。どうもいけ好かなくてな!」



 慌てて釈明するけど、少女のまなじりにじわりと涙が浮かぶ。

 え……えっ!?



「大丈夫だよ。見て」



 半分パニックな私は若葉くんに促され、再度少女を見やる。

 そして驚愕する。


 泣いているのに、笑ってる……。