鍵が開けられたばかりの昇降口。

 私は朝一番に、背が高くて、仏頂面の彼と対面した。



「おはよう……城ヶ崎」


「…………」



 城ヶ崎は私と視線を合わせたまま、黙り込んでいる。

 いつも逸らされる瞳が、交差している。

 向けられているのは……敵意じゃない?


 そこで私はハッとする。

 城ヶ崎から少し視線をずらした先、彼の肩の向こうに、細長い黒の包みがあることに。