「おい」


 とっさに涙を拭って振り向く。

 そこにいたのは、ごく普通の男子生徒だ。



「お前が紅林だな」



 私を見据える男子生徒。

 やがてその表情に、怒りの炎が灯る。



「……お前のせいだ」


「は……?」


「お前のせいで亜貴が怯えてるんだよ! ちょっと陰口叩かれたくらいで、キレやがって!」



 事情を掴めないけど……男子生徒の言い分から察するに、遠藤さんが休んだのは、やっぱり昨日のことが原因で?



「コイツ、何言ってやがる」


「こっちの話だ」



 苛立たしげな城ヶ崎へ簡潔に返答し、男子生徒へ向き直る。