――俺たちに理解者は必要ない。全員が敵だ――



 ……今の城ヶ崎は、若葉くんと出会う前の私みたいだった。

 普通の生活をするために何かを犠牲にしなければならなくて、それが友達だった。

 だから私はいつも独りで……いつしかそれを、仕方のないことだと合理化していた。


 誰が敵で味方かわからない。

 ならば、関わることをやめよう。


 でも若葉くんと出会って、それがどれだけ寂しいことか教えてもらった。

 誰かと一緒にいることが、こんなにも温かくてホッとすることなんだって――そう、教えてくれた。



「……っ!」



 城ヶ崎が手を引っ込めた。

 濡れる視界でそれを見て、私は確信する。



(城ヶ崎、あなたは……)