2人だけの図書室。

 私の葛藤も、ついに終わりを告げようとしていた。



「助動詞『べし』の文法的意味は、推量・意志・仮定・勧誘・婉曲・適当の6つ。文脈から考えて推量。

 で、こっちは完了の助動詞『ぬ』の連体形だ! できたー!」



 シャーペンを置き、書き上げたばかりのノートを目の前に掲げてみる。



「解説すっごくわかりやすかった! ありがとうね、若葉くん!」


「お役に立てたなら何よりです」



 今度お礼をしなくちゃな……と考えながら教材を片付けていたときのこと。

 クリアファイルから覗くノートの切れ端が目に留まった。