思わず叫んで我に返る。

 若葉くんが目をしばたたかせていた。

 しまった。私、何をバカ正直に……。



「ありがとう」



 そういうところだけちゃっかり聞いてる若葉くんは、ある意味油断ならない。

 どんなときも笑顔で全部片付けちゃう。

 ……ズルい。



「ひとまず教室に荷物取りに行って、図書室でしようか。2人で集中できるよ」


「うん、そうだね……って、ふたりぃっ!?」


「人目のつくところじゃ、やりにくいでしょ?」


「そ、そうでした……」



 素顔を知られたくないと言い出したのは私。

 若葉くんはそれを意識しながら接してくれている。

 だから、私がどうこう言える立場じゃないのはわかってるんだけど……胸の奥がキュッとなるのはなぜなのか?


 ……早くも難問が立ちはだかってきたものだと、頭が痛くなってきた。