反射的に暗い気持ちを振り払うのと、若葉くんが息を切らせながら駆け寄ってくるのは、同時だった。



「やっと見つけた。よかった……」


「若葉くんが慌てるなんて珍しいね。何かあったの?」


「うん、ものすごく! どうしても話しておかなくちゃいけないことがあって」


「は、はい。何でしょう……?」


 とても真剣な若葉くんを前にして身動きが取れなくなってしまう。

 さながら、ヘビに見込まれたカエルみたいだった。

 一体何を言われるのか、ハラハラしていると、



「ごめん。すっかり忘れてた」



 ヘビに謝られ、ポカンとするカエル。