「私、何やってるのかな……」



 私個人の都合。

 彼にとっては迷惑なのかもしれない。

 それでも会いたかった。

 ただ、お礼を言いたかった。


 ……そう願うのに、届かない。


 どうしようもなく不安になる私は、まるで抜け出すことのできない迷路へ置き去りにされた子供のようだった。



「紅林さん!」