叶う。 Chapter2





エレベーターに乗り込むと、俯き気味の凛はまたしくしくと泣き出した。
多分、安心したんだろうと思った。

私は最上階のボタンに触れると、凛の手をぎゅっと握った。
エレベーターは直ぐに私達を最上階まで運んだ。

扉が開くと、私は凛の手を引いて真っ直ぐに煉瓦の道を歩いた。
だけれど凛は一瞬動きを止めた。


「かなうの・・・家・・すごいね・・・」

まぁ、普通のマンションがこんな光景だったら誰でも驚くだろうと思ったけれど、私は小さく肩をすくめた。

「私の家じゃないよ。ママの家だよ。」

私がそう言うと、凛はやっと少しだけ笑った。

「とにかく、今は誰も居ないと思うから安心して。」

私はそう言って、呆気にとられて立ち止まっている凛の手を引いて玄関に向かった。

玄関に着くと、とりあえず荷物を降ろして鞄を漁って鍵を探し出した。
見つけ出した鍵で、玄関の重い扉を開ける。

そして凛を中に招き入れると、私は荷物を持って扉を閉めて鍵を掛けた。


「・・・お邪魔します・・・」

凛は小さな声でそう言ったけれど、返ってくるのは静寂だけだった。

「とりあえず、お風呂に入ったら?」

正直、凛に纏わり着いた匂いはあまり気分の良いもんじゃない。

凛も多分同じ気持ちだったんだろう、私の言葉にこっくりと頷いた。
だから私は凛の手を引いて、そのままバスルームに連れて行った。