叶う。 Chapter2





「凛?立てる?」

私はコートでくるんだ凛の腋に、自分の腕を通して凛をゆっくり起き上がらせた。
とにかくこんな穢らわしい場所から、さっさと出て行きたい。

だけれど先に凛に服を着せなければ。
いくらコートで包んでいても、下に何も着てなければ明らかに不審に思われるだろう。

ちらりと周りを見ると、男達はにやにやと笑いながらそんな私達を舐める様に見ている。
本気で殺してやりたいと思ったけれど、それは後からやればいい。


「……出てってくれない?」


私は樹にそう言った。


「出てけって?俺の家だぜ?」


樹がそう言って笑うと、周りの連中もつられて笑った。

だけれど私は頭の中にシオンを思い浮かべ、何もかもが凍り付くくらいのあの冷たい視線で樹を睨んだ。
樹の瞳が一瞬だけれど、戸惑ったのを私は見逃さなかった。


「服を着せたら帰るから、だからその間外に行って!」


静かに、だけれど怒りを込めてそう言うと、樹は黙ったまま扉を開けた。

周りに居た男達も、樹と私を交互に見たけれど、結果的には樹に従って部屋の外に出て行った。
私は脱ぎ散らかされた凛の服をかき集めて、未だ震える凛の背中をゆっくりと擦った。

「…………ご、め……ん…」

凛は掠れた声でそう言ったけれど、私は黙って首を振った。