叶う。 Chapter2





「俺は樹(いつき)だ。」

男はそう言って、また私と視線を合わせた。
私は真っ直ぐにその視線を見つめ返した。


「じゃあ、樹さん。凛はどこ?」

「樹で良い。」

「……樹、凛はどこ?」


私が冷めた声でそう尋ねると、樹は古ぼけた民家を顎で示した。
私は車を降りて凛のところに向かおうと思ったけれど、樹は私の腕を掴んでそれを阻止した。


「まだ、返事を聞いてねぇよな?」

「何の話?」

「お前の事が気に入った。」

「だから?」


私はわざとすっとぼけてそう言った。
段々と距離を詰めてくる樹が不快で仕方ない。


「かなうが俺の女になるなら、凛は解放してやるよ。」

「……嫌だって言ったら?」

「だったら凛にもっと稼いで貰わないとな。中学生ってだけで、高く売れるからな。」


そう言った樹の言葉に、腸が煮えくり返りそうになった。

なんとなく予想はしていたけれど、やっぱり凛は身体を売っていたんだ。
いや、正確にはこの男にやらされていたんだろう。

地獄に落としてやる。
美しいものを汚す事が、どれだけ罪深いものであるのか教えてあげよう。

「分かった。」

私がそう言うと、樹は満足気に笑った。

「だけど、条件があるの。」