私はゆっくりとソファを立つと、柴崎さんにもう一度お礼を言った。
「ありがとうございました。少し自分なりに考えてみます。」
そう言った私に、柴崎さんは相変わらず冷たく鋭い視線を向けた。
私が螺旋階段を降りようとそちらに向かった瞬間、柴崎さんは呆れたようにこう言った。
「君はやっぱり……紫音さんの妹なんだね。」
私は振り返って頭を下げた。
柴崎さんが何を言いたいのか分からなかったけれど、シオンの妹だと言われた事が何故だか嬉しかった。
血の繋がりはないけれど、私にはきっと他人から見たらシオンの面影を感じる事が出来るのだろうという事が単純に嬉しかったのかもしれない。
私はもう振り返らずに、真っ直ぐ螺旋階段を降りて人混みをすり抜けてクラブを出た。
振り返ってしまえば、私はきっと柴崎さんの好意に甘えたくなってしまうような気がしたからだ。
夜の繁華街は相変わらず沢山の人達で賑わっているけれど、私は真っ直ぐに自宅に戻った。
柴崎さんから聞いた情報を、忘れないうちに調べておきたかったし、家も探したかった。
静かすぎる室内で、私は今まであまり使った事のなかったパソコンの電源を入れた。
中学に入った時に、ママが必要だろうと私に買い与えたこのノートパソコンは久々の起動に嬉しかったのか直ぐに立ち上がり、私は″レイチャーチル家″と文字を打ち込み検索をかけた。

