その仕草に何故か悲しみが込み上げてきたけれど、私は平静を装って柴崎さんの瞳を真っ直ぐに見つめた。
そんな私の瞳をちらりと見ると、柴崎さんはまたゆっくりと私の身体に触れながら話し出した。
「だけど……裏の顔は知っての通りだと思うがね?」
そう言ってにやりと笑った。
「兄達は何処に?」
「……僕が君にこんな事を言うのはおかしいかも知れないが、もう忘れた方が良い。」
柴崎さんはそう言ってから、小さく私の耳元で囁いた。
「君は痩せすぎだ、こんなに若くて美しいと言うのに、勿体ない。僕の傍に居れば、君を何不自由なく立派な女性に育て上げる自信がある。」
そう言って私の耳に唇を寄せた。
私はシオンのあの冷たい何もかも見透かす視線を思い出し、その感情のない瞳で真っ直ぐに柴崎さんの瞳を見つめた。
「……兄達は今何処に?」
私の視線に柴崎さんが、ほんの少しだけ動揺したのが分かった。
触れられていた手が、私の身体を離れた。
「……レイチャーチル家で調べれば良い。」
柴崎さんは冷たい声音でそう言った。
「……ありがとうごさいます。」
レイチャーチル家なんて聞いた事もなかったけれど、きっと調べれば直ぐに分かるからそう言ったんだと思った。
知りたい事を聞けた私は、もうこの場所に用はなかった。
柴崎さんの誘いは魅力的だったけれど、私はまだもう少し考える時間が欲しかった。

