「あの……もう1つだけ教えて頂けませんか?」
私にはどうしても知りたい事があった。
それはシオンにも、レオンにも、ママにも聞けなかった事だ。
だけれど、きっとこの人は知っている。
「此方へ……」
柴崎さんは自分の隣に来るようにと、ソファを軽く叩いた。
私はゆっくりと促されるまま、柴崎さんの隣に静かにほんの少しだけ距離をとって座る。
柴崎さんはそんな私の腰を掴むと、強引に自分に近付けた。
体温が伝わる程のその距離に何故か泣きたくなったけれど、私がしようとしていたのはこういう事だ。
他人に触れられても、何をされても、笑顔で相手の欲求を満たしてお金を得る。
子供の頃していた事と同じじゃないか。
だけれどやっぱり違うのだ。
好きな人にされるのと、他人にされる違いを知ってしまった今は、こんなにも違う。
私は自分の感情が消えて無くなれば良いと、心から願った。
「何が聞きたい?」
柴崎さんは耳元で、囁くようにそう言った。
「……シオンとレオンの父親は、一体何者ですか?」
私がそう言うと、柴崎さんは私の腰に回した腕を自分に更に引き寄せて笑った。
「…何者かと言われてもね。彼は貴族だ…正確には貴族で名門の家の人間なんだよ。世間的にはね。だから、今も世間的には有名な富豪の一人だ。表の顔はね。」
柴崎さんはそう言って、私の腰からウエストまでを撫でるように触れた。

