ただでお金を稼ぐ事は出来ない。
お金を稼がなきゃ、家族には会えない。
それも、バイトや普通の社会人が稼ぐような金額じゃ認められる訳がない。
双子の父親は言ってた、ポルノ女優だろうが高級コールガールだろうが、幾ら稼ぐ事が出来るのかが問題なのだと。
だけれどそれをする為には人脈も必要だ。
ここで柴崎さんに面倒を見てもらう事を選ぶ事は、人脈作りにも役に立つかもしれない。
だけれど何故か、返事を出来ない自分がいる。
無言の私に、柴崎さんはまた小さく笑うとこう言った。
「どうやら、君は自分が置かれている状況をきちんと理解出来てないようだね?」
「いえ、状況はきちんと分かっています。」
「ならどうして、折角の誘いを迷う必要がある?君はまだ一人で生きていけるほど大人じゃない。」
そんな事は、自分が一番良く分かっている。
「あの、ご厚意には感謝します。ただ少しだけ考えさせて頂けませんか?」
「まぁ、それは構わないよ。だけど、僕もモテない訳じゃない、だから次に会った時に君の居場所があるかは保障出来ないね。」
「分かっています。」
多分脅しではなくて、本当の事なんだろうと思った。
金持ちで、顔も良い。
人には言えない職業という以外、柴崎さんに欠点は見当たらない。

