「僕はまだ死にたくないのでね。」
「……え?」
柴崎さんの言葉の意味が分からなかった。
「ここは僕達が買い取ったけどね、でも君の家族……いや、元家族とはまだ取り引きしているんだ。君が僕の紹介で身体を売ってるなんて、紫音さんの耳に入ったら大変な事になるんだよ。」
突然出てきたシオンと言う名前に、何だかとても悲しくなった。
「君には友達はいないのか?」
私は俯いて首を振った。
友達の事を考えたけれど、誰にもこんな相談出来る訳がないと思った。
家族に捨てられ、家を失い、尚且つ″まとも″じゃないこんな世界に誰かを巻き込む事も出来ない。
それに私を含む全員が子供だ。
1週間泊めてなんていう家出とは訳が違う。
「まぁ、方法がない訳じゃないが……」
私は柴崎さんの言葉に顔を上げた。
「君さえ良ければ、僕が君の面倒をみても良い。紫音さんが夢中になってた君を自分の目で見てみたい。」
柴崎さんはそう言って、鋭い視線で私を上から下まで眺めた。
欲に濡れたその視線の意味を、私はこの場所にやって来た時から気づいていた。
もしこの人が和也やシオンだったら、私は躊躇もせずにこの身を委ねるだろう。
それに柴崎さんはきっと悪い人では無いと思う。
突然現れた私をこの場所へ呼んでくれたのだから。
だけれど何故か、返事をする事が難しい。
嫌な訳じゃない、実際に私は汚れた人間だ。
それに身体を売ってでも、生き延びなければいけない。

