叶う。 Chapter2






双子の父親は、家族からの援助は一切無しだと言った。

だけれど柴崎さんに仕事を紹介して貰っても、家族の援助とは一切関係ないはずだ。

とにかく今は動かないと何も始まらない。


私はそう思って、鏡台に座ってメイクを直すと制服から少し派手目な服に着替えをして貴重品だけを持って家を飛び出した。




夜の繁華街は沢山の人で賑っていた。

明日から冬休みが始まるからか、いつもよりも多い若者達が各々に楽しそうに騒いだり、ナンパしたりと何だか酷く騒がしかった。

ここに居る若者達には、きっと皆どんな事情があれ家族や親類や友達が居るのだろう。

こんなにも沢山の人が居るのに、私みたいに家族も家も失った事がある人が一体何人いるのだろうか。

楽しそうに会話をする若者を横目で睨みながら、私は真っ直ぐにクラブへの道を歩いた。

途中絡んでくる男や、ナンパしてくる男に、私は地面に唾を吐き捨て威嚇した。


楽しそうにしている人達に恨みはないけれど、とてもじゃないけれど相手にする気力もない。

人混みを縫うように歩きながら、私は漸くクラブの入り口に辿り着いた。

この前は樹が一緒だったから勝手に入れたけれど、今日は何故か入り口に居る厳つい警備の男に止められた。


「お嬢さん、年齢は?」


私は他人から見たら幾つに見えるのだろうか、と一瞬考えたけれどここは素直に柴崎さんの名前を出した方が安全だと何故かそう思った。


「柴崎さんに取り次いで、アンナって言います。」


私がそう言うと、男は耳に着けたインカムマイクで何やらひそひそと話し始めた。