「2時間くらい前だったかな・・・何だか黒いスーツを着た外人さんが20人近くやって来たんだ。アンナちゃんの家に・・・」


「・・・・え?」


「ママさんが居たから、取り次いだんだけどまだ出てきてないからきっと家に居るはずだよ。」


私は胃袋に氷水を流し込まれたかのような寒気と吐き気が同時に押し寄せた。


「あ、あの・・・兄達は?」


「ああ、お兄さん達はそれから慌てて帰ってきたよ。だから家に居ると思う。」


私は眩暈がした。
嫌な予感は予感ではなくて、きっと的中だろうと思った。


「だから、その人達が帰るまでどっかに・・・。」


岸谷さんはそう言ったけれど、兄達が帰ってからの時間を考えたら双子やママに用事があるのなら、態々この時間までこの場所に居ないだろうと直感的に思った。

ママや双子に用事があるのなら、ここに来る必要はきっとないだろう。
その人が態々こんな場所までやってくるなんて、私に用事があること以外に考えられなかった。

私は深く息を吸い込むと、岸谷さんに余計な心配をかけないように笑顔を取り繕ってこう言った。


「きっと知り合いなのかもしれないです。何度か会った事があるので、なのでいれて下さい。」


「本当に?なんせ・・・言っちゃ悪いけどまともな人に見えなかったよ?とにかく外国の映画に出てくるみたいなマフィアみたいなさ・・・。」


どうやら私の想像通り、家に居るのは双子の父親だ。